研究概要 |
Y_iは応答変数,x_iは確率変数ではない説明変数,E_i,は誤差確率変数で独立で同一の連続型分布関数F(x/σ)を持つとするモデルY_i=h(x_i,θ)+E_i,i=1,...,n,θ∈Θに含まれる2標本モデルと二元配置モデルにおいて尺度について不変な頑健統計量を提案し,Fisher's consistency ∫^∞_<-∞>ψ(x)dF(x)=0の条件を必要とせず,スチューデント化された頑健な検定と推定法について論じた。検定統計量については漸近カイ自乗性を,推定量については漸近正規性を漸近的線形性や分布収束の理論を使って導いた。数式を基に正規分布のずれによる漸近検出力と漸近平均自乗誤差を多くの分布に対して調べ,観測値が正規分布以外の分布に従っている場合に,F検定や最小二乗推定量よりも提案した統計手法が非常に良く,正規分布のときは提案した手法がすこしだけ劣ることが解り,提案した手法の分布に対する頑健性が導けた。また観測値に異常値がある場合の漸近的頑健性も導けた。小標本の場合に,分布と異常値に関する頑健性が成り立つかを計算機シミュレーションによって調べ,漸近的結果と同様の結論を得た。これらのことから,提案した手法はすその重い対称な分布だけでなく,ゆがんだ対称でない分布に対しても頑健であることが示されたことになる。 2標本モデルの場合に,頑健検定は並べ替え検定として帰無仮説の下で分布に依存しない方法となる。順位検定との検出力の比較を計算機シミュレーションによって調べ,観測値が正規分布に近い分布に従っているときに,提案した検定は順位検定よりも優れていることが示された。推定量の分散を推定するEfron and Tibshirani(1993)のブートストラップ法を行ったが,小標本の場合には実際の分散とは異なることが示せた。ブートストラップの改良は模索中である。提案した計算機アルゴリズムを作り,ソフトプログラミングも行った。 以上の結果を基に現在2標本モデルや二元配置モデルよりももっと一般の場合を考察中である。
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