ファジィランダム集合の平均挙動については、ファジィランダム集合が独立の場合(特に独立で同一分布に従う場合)とそうでない場合、すなわち従属性が存在する場合ではその平均挙動の収束のための条件が異なってくる。また、その収束していく個々の過程に注意を払うと、当然時間と共に変化していく集合間には従属性が存在する。従属性を仮定した場合の収束定理・モデルはどちらかと言うと敬遠されがちである。従属性の中で最も有用な一つは交換可能性(Exchangeability)である。ランダム集合列(あるいはファジイランダム集合)のベクトルを考えたとき、各集合の順序を入れ替えてもその分布は不変であると言う性質はランダム集合の挙動が変化する過程を解析する上で重要である。収束定理構築に、マーチンゲールの性質が有用であるが、もう少し緩やかな条件にすることが望まれる。一方、従属性の別の表現としては、ランダム集合間に負の従属性(Negative Dependence)存在する場合である。ランダム集合のベクトルについて、ランダム集合の結合累積確率は似々の累積確率の積以上にはならないという性質である。この性質はある意味においては、交換可能性よりもより実用的であるかもしれない。これらいずれの場合も有用な結果が得られつつあり、いくつかの収束定理構築が可能である。どちらの場合も、ランダム集合(ファジィランダム集合)の平均挙動に関連しているが、もう少し、一般的に考えて、重み付け総和の挙動とすることもできる。これは、仮定の条件が少し変わってくるが、応用の面から考えると平均の挙動の場合より重要となる。結果について両者の比較及び検討することが次ぎの課題である。
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