研究課題/領域番号 |
10640140
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
藤井 宏 京都産業大学, 工学部, 教授 (90065839)
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研究分担者 |
久保 雅義 京都大学, 大学院・情報学研究科, 講師 (10273616)
伊藤 浩之 京都産業大学, 工学部, 助教授 (80201929)
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キーワード | ユニタリー事象 / 集団的コインシデンスディテクション / 動的セル・アセンブリー / Joint PSTH |
研究概要 |
● ユニタリー事象と集団的コインシデンスヂテクションの様相 内的な認知過程に関連して一定の細胞集団が作業グループを形成し、同時的発火の確率をあげているとするユニタリー事象は、最近、A.Rieleらが報告した。本研究では、あるレベルの生理学的基礎をもったスパイク・ニューロンの大規模な神経ネットワークを構成し、予備的シミュレーションを遂行した。ここでは、Markramらが報告した皮質ニューロンのシナプス学習を仮定し、このような一回限り生じるような心理学的、内的事象の内部表現が、必ずしも発火率の変動を伴わない動的なセルアセンブリーとして如何に形成されるのかを主題としている。 その結果、集団的なコインシデンスヂテクションによる動的なセルアセンブリーの形成の様相、また、いわゆるongoing activityの役割、選択的注意の動力学的な意味等について、極めて示唆的な結果を得た。 これらの予備的な結果は、The 3rd Riken-Tamagawa International Forum on Dynamic Brain‘98において報告した。 ● 動的セル・アセンブリーの検出、統計的記述 - 神経細胞活動における関係性符号化の解析のための方法論の検討 伊藤らは、同時計測された細胞のスパイク発火間の相関関係のサブセカンドレベルでの変動を視覚化する方法の統計的検証を行った。この解析において現在最も優れているとされるJoint Peir-Stimulus Time Histogram法においてスパイクデータから発火率の変動と相関の変動を分離する数学的構造を再検討して、この分離には普遍的な方法が存在しないことを指摘した。この結論により、「実験データから実際の脳で生じている神経ネットワークの現象を理解するためには、データをいかに解析するのかというモデルを研究者自らが選択して、議論を始めなくてはならない」という脳研究に普遍的に存在する問題点を再確認する事となった。
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