研究概要 |
多次元の添字をもち、距離空間上に値をとる確率要素の束{X_n}に関する極限定理に、多次元の添字をもち、正数のベクトル値をとる確率添字の束{γ_n}を導入できる為の十分条件をえる為に、確率添字の束{γ_n}のEssential part{D_n}を導入した。また、このEssential partを用いて、これまでの{γ_n}の{X_n}に関する一様な漸近的独立性の概念を次のように拡張した。 任意の正数をεとし、多次元の添字をもつ{D_n}上に値をとる任意の関数の束{m_n}と{γ_n}について可測な任意の確率空間の分割の束{A_<n,κ>}に対して、 limsup_<n→∞>|Σ^∞_<κ=1>Φ({Y_<m_n(κ)>∈B},A_<n,κ>)|<ε が成り立つとき、Essential ε-独立と定義した。ここで、Φ(A,B)=P(A∩B)-P(A)P(B)である。 本年度の主たる結果は,このEssential part上で定義された一様な漸近的独立性を用いた各種の確率化された極限定理を示したこととこの漸近的独立性が、これまで最も広い漸近的独立性の概念とされていたUniform ε-独立性を更に拡張したものであることを示したことである。また、これらの結果が、従来の結果の有意な拡張であることを示す例が求められた。一方、Uniform ε-独立性の仮定の下で得られていた極限定理に導入できる確率添字の列の族による極限定理の特徴づけについては、確率要素の束{X_n}が値をとる距離空間の可分性の条件を付け加えることで示せることがえられた。 また、それだけでなく、このEssential part上で定義された一様な漸近的独立性の条件は、これまで極限定理に確率添字の列を導入する為の全く異なるタイプの十分条件とされ、応用的に価値の高い確率論的一様独立性の(Anscombe)条件をも含むことが示せた。
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