研究分担者 |
吉田 伸生 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40240303)
桑江 一洋 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (80243814)
古畑 仁 東北大学, 大学院情報科学研究科, 助手 (80282036)
岡田 正巳 東北大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (00152314)
浦川 肇 東北大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (50022679)
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研究概要 |
今年度の研究代表者の実績としては,(1)無限次元空間上の拡散過程の推移確率の漸近挙動の評価,(2)Wiener空間の部分集合上のDirichlet形式の既約性の新しい証明,(3)双曲型空間上のループ空間の上の対数ソボレフ不等式の証明などがある. (1)は研究目的でも述べたように,次元に依存しないハルナック型不等式を無限次元空間で確立し,その応用として証明したものであり,通常の確率微分方程式を用いた方法では適用できないような例も含んでいる.また,現在はGibbs測度に関して対称な拡散過程について現在得られている結果を応用すべく研究中で,ある程度の成果を得ている. (2)は研究代表者の今年度の発表論文の“Differential calculus on path and loop spaces"においても用いられている楠岡成雄氏の定理の一般化と証明の簡単化を行ったものである.詳しく言うと,部分集合はU={z∈B|φ(z)>0}で与えられ,これまでφの正則性とUの連結性二つが必要であったがUの連結性だけで定理が成立することがわかった.これで空間の連結性と測度のエルゴード性,形式の既約性の関係がある程度わかりやすくなったと思われる. (3)は現在でも進行中の研究である.現在は3次元,5次元での結果しか得られていないが,断面曲率Kが-∞<-b^2【less than or equal】K【less than or equal】-a^2<0を満たす単連結空間では同じように証明できると思われる.またその証明の中で熱核の微分の漸近挙動の詳しい結果も得た.また更に正の定曲率空間である球面の時もある到達確率の精細な評価を用いて証明できるのではないかと思い研究中であ また分担者である吉田伸生は格子Z^d上のスピンがコンパクトのときのGibbs測度のmixing性の条件と対数ソボレフ不等式が同値であるという結果を非有界スピンの場合に拡張した.
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