研究分担者 |
桑江 一洋 横浜市立大学, 理学部, 助教授 (80243814)
関根 順 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 講師 (50314399)
長井 英生 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (70110848)
吉田 伸生 京都大学, 大学院・理工学研究科, 講師 (40240303)
数見 哲也 大阪府立大学, 総合科学部, 講師 (40224422)
|
研究概要 |
平成11年度の主たる成果は次の通りである. (1)pinnedした拡散過程について,Clark-Ocone-Haussmann formula(=COH formula)を証明した. (2)熱核(推移確率)が下から強い評価をもつための十分条件を与えた. (3)パス群の上の拡散過程の時間が0に近いときのVradhan型の評価を与えた. (1)の応用として双曲型空間の上のpinned Brownian motionについて非有界な拡散係数をもったディリクレ形式について対数ソボレフ不等式を証明した.Pinned measureについては対数ソボレフ不等式,スペクトルギャップの存在など不明であったがこの結果はポジティブな方向の初めての結果といえる.COH-formula自身は拡散過程の熱核(推移確率)の時刻0での振る舞いがあまり悪くないような場合に成立する.従ってCOH-formulaは双曲型空間を含むある多様体のクラスで成立するはずだが,その研究は今後の課題である. (2)はその試みの研究である.結果は,次の通り.ユークリッド空間上の一様楕円な拡散行列係数をもつ拡散過程を考える.その拡散係数の微分(次元に応じて何回までの微分が必要かは変る)が無限遠で十分早く0に収束するならば,AronsonやDaviesの研究でよく知られているGauss型の下からの評価がより強い形で証明できる.すなわち指数の肩の係数をベストな定数にできることをMalliavin calculusを用いて示した.更に(1)に応用できる程度に熱核の評価を出すためには熱核とその1階,2階微分の上からの同じような形での強い評価を示す必要がある. (3)は前年度に取り組み今年出版予定の河備氏との共著論文の方法を用いて証明した.鍵になるのは,集合の間の推移確率に関するHarnack型不等式である.
|