研究分担者 |
川下 美潮 茨城大学, 教育学部, 助教授 (80214633)
田沼 一実 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (60217156)
山本 昌宏 東京大学, 大学院・数理科学研究所, 助教授 (50182647)
大西 和榮 茨城大学, 理学部, 教授 (20078554)
池畠 優 群馬大学, 工学部, 助教授 (90202910)
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研究概要 |
研究課題「連続体力学における逆問題の数学解析」として,(i)電気心電図逆問題,(ii)弾性方程式の境界値逆問題,(iii)弾性波の散乱の逆問題の三つに関して研究を行い,それぞれ次の様な研究成果をあげた. (i) 電気心電図逆問題とは,体表面につけた電極より電流を流して体表面の電位を測定する事により行う心臓の診断法をモデル化した逆問題である.心臓表面の未知形状と未知電位及び心臓の未知導電率を同時に同定する様な計算アルゴリズムを作り数値実験を行った. (ii) 弾性方程式の境界値逆問題とは,弾性体の境界変位と境界応力とを観測する事により弾性係数や弾性体内の介在物を同定する逆問題である.有限回の観測により等方弾性体のラーメ係数の同定を行う逆問題について同定の一意性と安定性とを示した.証明の方法は,弾性方程式に対するCarleman評価に基ずく.等方弾性体の逆問題に比べて非等方弾性体の逆問題は,格段に難しくなる.それでも数学的理想化として無限回の観測を許すと,非等方弾性体について介在物の同定の一意性が得られる事を示した.さらに非方弾性体の特別な場合である横等方弾性体については,弾性係数の近似的同定のアルゴリズムであるlayer stripping法が可能である事を示した. (iii) 弾性波の散乱の逆問題とは,等方弾性体中を伝わる弾性波が弾性体の非均質性により散乱されるとき,散乱波の遠方の様子から弾性体の非均質性を同定する逆問題である.これは超音波による非破壊検査法の数学解析に関する基本的問題である.各固定周波数ごとに同定の一意性が成り立つ事を示した.
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