研究概要 |
当該研究課題に関する平成10年度の研究実績の概要は次の通りであり,成果は学術雑誌等に発表された.勘甚は解析関数の作る古典的なハーディ空間に対して成り立つ,いわゆるハーディの不等式を,エルミートとラゲール多項式の作る直交系に対して証明した.また,この不等式はフーリエ変換に対しても成り立っているが,そのある意味での拡張としてハンケル変換に対して類似の形で証明した. 一瀬はKacの転送作用素とシュレディンガー半群との差の作用素ノルムを,小さい時間の1より大きいベキで評価し,その1つの応用として,作用素ノルムでのLie-Trotter-Kato積公式を証明した.Feynman-kac公式を用いる確率論的手法,作用素論的手法の両方で行った. 藤解は平面上で有理型函数を係数にもつ斉次線型常微分方程式の有理型及び代数型解の値分布を研究した.成果として,有理型函数の成すある係数体上に於いて,線型の意味での規約性に関する結果を得た,特にその基本解が全て同一の係数体上の斉次1階線型方程式を満たす様な方程式を決定した. 土谷は境界条件をもつ拡散方程式の基本解の存在を構成的な方法で示し,領域摂動に関する安定性や狭義正値性を確かめ,また非斉次的な問題の解の完全な積分表現を与えた.更にここで得られた基本解についての結果を拡散過程の重ね合わせの問題に応用して,重ね合わせを表すマルコフ過程がフェラー過程であることを示した. 佐藤はLittlewood-Paley理論における滑らかさの正則性のない積分核から定義される自乗関数に対して,積分核のサイズに関するあの条件のもとで,重みつきのp乗可積分関数の空間上での有界性を証明した.
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