研究概要 |
昨年度に引き続き、複素ユークリッド空間C^nの単位球B_n上のハーディ族H^P(B_n)、バーグマン族A^P(B_n)、0<p<∞を中心として研究を進めた。これらの関数空間はその重要性のゆえに様々な特徴付けが試みられている。ごく最近、G.BenkeとD.-C.Changは或る種の幾つかの微分作用素を用いて荷重バーグマン族A^α_p(B_n)、-1<α<∞、1【less than or equal】p<∞の特徴付けを与えた。興味深い結果である。彼らの証明は本質的に正しいと思われるが、少しく曖昧な箇所が見受けられる。この点を解除すべく、彼らの定理に対して別証明を行い、論文「On a theorem of G.Benke and D.-C.Chang」にまとめ、明解なものとした。ハーディ族H^p(B_n),バーグマン族A^p(B_n),0<p<∞の一般化である荷重バーグマン族A^α_p(B_n),-1<α<∞,0<p<∞を含むハーディ・オーリッツ空間H_ρ(B_n)、バーグマン・オーリッツ空間A_ρ(B_n)として、近年プリバロフ空間N^p(B_n),1<p<∞、荷重バーグマン・プリバロフ空間(AN)^α_p(B_n),-1<α<∞,1【less than or equal】p<∞が研究されるようになってきた。これに関し、昨年度発表したトーラス上のハーディ族の不変部分空間についての結果との関連で、プリバロフ空間N^p(B_1),1<p<∞の不変部分空間を研究し、論文「Invariant subspaces of Privalov spaces」としてまとめた。この論文は現在投稿中である。更に、荷重バーグマン・プリバロフ空間(AN)^α_p(B_n),-1<α<∞,1【less than or equal】p<∞の線形等距離写像の研究を始め、大体の結果の見通しを立てることができ、論文の形に現在まとめつつある。これは大学院生、植木誠一郎との共同研究である。
|