研究分担者 |
増本 誠 山口大学, 理学部, 助教授 (50173761)
加藤 崇雄 山口大学, 理学部, 教授 (10016157)
栗山 憲 山口大学, 工学部, 教授 (10116717)
郷間 知巳 山口大学, 理学部, 助手 (70253135)
木内 功 山口大学, 理学部, 助教授 (30271076)
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研究概要 |
任意に固定した正則函数について,これを含む1パラメータファミリーを正則性を保ったまま構成するには,一旦正則性を諦め,より弱い条件である擬等角性を持ったファミリーを考え,それをさらに正則になるように擬等角写像を用いて修正するという方法が有効である.この為には,擬等角写像がBeltrami微分にどのように依存するかを記述する変分公式を求めておくことが重要である. 上記の動機と発想のもとで擬等角写像の変分公式の研究に取り組んできた.実際には過去,研究代表者により得られていた漸近展開による変分公式を絶対収束級数による展開へと深化させることを目標として研究を遂行してきた.しかしながらこの問題は擬等角写像の変分公式というよりは,より深い擬等角写像の大域的な構成法に関わる重要な問題であることが判明してきている.従来大域的な擬等角写像の構成法としては,AhlorsやBersによるBeltrami方程式の局所的な解として得られる局所的な擬等角写像を合成等により張り合せるという方法が用いられてきた.これが本研究中に示された方法を用いればBeltrami方程式自体が大域的に解け,これより擬等角写像が張り合せによらず一挙に構成することができる.残念ながらこの新しい方法では,擬等角写像の定義域を大域的にすることができるものの,Beltrami微分のノルムについては小さく無ければならないという付帯条件が付く.この付帯条件についての定量的な評価を一応は行うことができたが,まだまだ粗い評価に留まっている.これをどれだけ精密化できるかが今後の課題である. また本来の正則写像の変分公式の応用について目標とする所のBloch函数について,歪曲定理と増大度の評価についての結果を得ている.
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