20世紀を代表する物理学の理論である相対論と量子力学は、相対論的な量子力学であるところの場の量子論に統合された。場の量子論はWightman関数で特徴付られ、そのWightman関数は一般化された関数で、普通Schwartzの緩増加超関数となる場の理論が考えられていてstandard quantum field theory(SQFT)と呼ばれている。Hyperfunctionは局在性をもつ関数の一般化の中で一番一般的なものと考えられるので、これに対する量子場は最も一般的なものと考えられる。このような場(正確にはWightman関数がFourier hyperfunctionになる場)は筆者達によりhyperfunction quantum fieldと名付けられ、1976年以後研究されてきた。Fourier hyperfunctionの試料関数空間は解析関数からなるので、台が有界な関数を含まない。これがhyperfunction quantum field theory(HFQFT)の研究を困難にしている。 今回得られた結果は、有界な領域に対する場の作用素というのはSQFTの場合とことなり、hyperfunctionは台が有界な試料関数を持たないのでHFQFTの枠内では定義できないにもかかわらず、有界な領域内の観測量に対する作用素及びそれらの作る代数はHFQFTの枠内で定義することができることを示し(1998年)、またその作用素代数が自明でない様なHFQFTのモデルが存在することを示した(1999年)ことである。
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