研究概要 |
平成11年度の研究計画は、以下の通りであった。(1)平成10年度に大方得られていた「配位空間上の経路積分の収束の研究」を論文にまとめて発表すること(一ノ瀬)。(2)ゲージ不変性をもつ位相空間上の経路積分を新たに提案しその収束の研究を行う(一ノ瀬)。(3) source Jを母関数としてもつ経路積分に数学的意味を与える(一ノ瀬)。(4)フーリエ積分作用素理論を用いた経路積分の収束の研究(熊ノ郷)。(5) source JをもつSchrodinger方程式の初期値問題の研究(千原) 一ノ瀬は(1)について論文をまとめ上げ、現在Ann.Henri Poincare,J.Math.Phys.に投稿中である。(2)については、従来物理学で用いられていた経路積分を変更することによりゲージ不変性をもつ位相空間上の経路積分を新たに提案することに成功し、又一般的な条件のもとでその経路積分の収束を示した。この結果は、現在Comm.Math.Phys.に投稿中であり、ポツダム大学(ドイツ)での国際偏微分方程式研究集会(7月)、大阪大学偏微分方程式研究集会(8月)、作用素論シンポジウム(9月,函館)、東京都立大学偏微分方程式研究集会(1月)で発表された。(3)については(2)についての研究が予想外に進んだため時間がなく残念ながら着手できなかった。熊ノ郷は(4)について研究した。フーリエ積分作用素理論を用いて「折れ線を用いた配位空間上の経路積分の収束」を示した。この結果を工学院大学研究報告で公表し、又大阪大学偏微分方程式研究集会(8月)、数理研研究集会(11月)で発表した。千原は(5)に関連してSchrodinger型非線形方程式の初期値問題の研究を行った(Math.Ann.1999)。ここで用いられた手法はsource項を持つSchrodinger方程式の初期値問題についての研究に応用されると期待される。
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