研究概要 |
本研究の目的は、作用素論における古田不等式の研究である。古田不等式はそのユニークな形と証明方法で注目を浴びてから、様々な方向に応用、発展されてきている。 平成10年度は、古田不等式がBanach^*-algebraの場合も、同様に成立することの証明と、grand古田不等式のbest possibilityの証明を行った。また、p-hyponormal operatorの拡張としてlog-hyponormal operatorという新しい作用素のクラスを見つけ、Aluthge変換を用いて、log-hyponormal operatorの面白い性質をいくつか調べた。 平成11年度は、引き続き、log-hyponormal operator,p-hyponormal operatorの性質を調べた。また、一般の作用素のAluthge変換の性質を調べ、log-hyponormal operator,p-hyponormal operatorの場合に応用することができた。また、log-hyponormal operatorのangular cuttingがp-hyponormal operatorと同様に可能であることを証明した。 巾が負の古田不等式のbest possibilityはいぜんとして未解決であるが、否定的に解決できるであろうという有力な証拠が、古田らによって見つけられたので、今後も解決に向けて取り組みたい。
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