研究概要 |
研究課題について,1.リーマン面のマルチン境界とその上の調和関数,2.多重連結領域に対する縮約極値的長さ,3.1段非線型双曲型方程式の解の特異性,4.波動の方程式及びα階放物型方程式の解に対する平均値の性質,以上4つのテーマに関する研究を行い,本年度は以下の成果を得た. 1.正岡は瀬川との共同研究により,以下の3つの成果を得た. (1)複素平面の有限葉非有界被覆面でハインズ型であるものに対して,非極小境界も含めたそのマルチン境界全体の形を決定した. (2)グリーン関数が存在するリーマン面RとRを基底面とする有限葉非有界被覆面R^^〜に対し,R上の有界調和関数の空間とR^^〜上の有界調和関数の空間とが一致するための必要十分条件をR及びR^^〜のマルチン境界の概念を用いて与えた. (3)開リーマン面R上の極小マルチン境界点pの上にあるRを基底面とする有限葉非有界被覆面R^^〜上の極小マルチン境界点の個数がpの極小細位相によって,特徴付けられることを示した. 2.石田は縮約極値的長さを用いて,有限連結領域の円板の中への等角的埋め込みを議論した. 3.辻は1階非線型双曲方程式の解の特異性をcharacteristic methodを用いて議論した. 4.西尾は以下の2つの成果を得た. (1)ユークリッド空間上の波動方程式の解に対する平均値の性質を示し,逆にそれによって,ある領域が特徴付けられることを示した. (2)α解放物型方程式の解に対する調和性と平均値の性質について議論し,その平均値の性質によって,帯状領域が特徴付けられることを示した.
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