研究概要 |
種数が1のリーマン面の変形を,リーマン球の5点配列の特別な場合(3枚の被覆で,1点で2位,残りの4点で1位の分岐を持つ)と捉えて,そのモノドロミーについて調べた.リーマン球の2枚の被覆面に線分に沿って別のリーマン球を貼りつけることにより得られる,27枚(実質9枚)の3枚の被覆面のうちの3分の1については解明されていた.1つの分岐点が別の分岐点の周りを回ることにより,すなわち,線分のみならず曲線に沿って貼りあわせることにより,対応する曲線の定義方程式(の係数)が連続的に連化し,どのように繋がっているかを調べた.これにより,残りの3分の2についても解明された. すべてが解明されたことにより,被覆面の族を表現するパラメターがみたす代数方程式のガロア群を決定することができたので,ルーマニアのIassyでの研究集会において研究発表をおこなった(1999). この間,フェルマー曲線上のワイアシュトラス点についてフェルマー曲線の自己同型群による商曲線の点で,そのリフトが重さ1のワイアシュトラス点であるものの定義方程式を得たので,ベルリンでのICM98において研究発表を行った(1998). 所期の目的であった種数2のリーマン面の変形に係る9次の代数方程式を数値的に解くことは今後の課題として残されてはいるが,種数が1のリーマン面の変形を研究することにより,まったく別の方法による種数2のリーマン面の変形の解明への手がかりを得ることができた.
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