研究概要 |
可分な単純C*環に対して、その純粋状態からなる空間が、自己同型群(正確には漸近的に内部的な自己同型群)に関して等質であることを示した。この証明には、どんな可分なC*環も既約表現に関してある種の従順性をもつということを使う。このことによって、可分な単純C*環は高度な対称性をもっっているといえる。最初のこの種の結果は、R.Powersの、UHF環に対する結果で、もう三十年以上まえのことである。この研究は、O.Bratteli,二村、片岡、小沢、境、との共同研究である。 上述の結果は、可分な単純非I型C*環に対する、外部的自己同型写像の存在定理にもなっている。そのようにとると、流れ(一径数自己同型群)に対しても同様の問題を考えることができ、これを肯定的に解いた。これは、勝手な既約表現に対して、そこで共変になるように、かつ、コンヌスペクトルが一杯になるように構成される。もちろん一般に成り立つことなので、流れは近似的に内部的である。この証明の途中で、上述の結果を、可分なI型表現からなる空間に一般化した(上述の結果は、多少弱くなるが、既約表現からなる空間に対する結果としても表現することができる)。これには、表現の既約分解に関する結果を使う。 前段の結果から自然に生じた問題は、近似的内部的流れに対して、その近似列を、共変表現で収束するようにとれるか、という問題である。これを共変既約表現の場合に解くことができた。この問題は、G.Elliottによって、すべての表現で共変である場合には肯定的にとかれている(これは、C*環が単純でない場合にのみ意味があるが、今ここで考えている問題は、単純の場合こそ問題である)。一般の共変表現の場合にはC*環の従順性を仮定する必要があると思われるが今後の問題である。
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