研究概要 |
C^*-環Aが単調完備であるとはAの自己共役元の上に有界且つ上に有向な族が上限をもつときであるノイマン環は単調完備であるが,一般にノイマン環を直和因子としてもたない単調完備C^*-環が存在する(これを特異単調完備環という).可換特異単調完備環としてよく知られているのはDixmier-環Dである.Dには,任意の可算離散群Gが自由に且つエルゴード的に作用することが知られている.接合積の概念を用いてD×Gを構成すれぱ,これは特異な単調完備因子環である.驚くべきことに,G及びそのD上の自己同型写像群としての自由且つエルゴード的な作用の違いは全てDによって吸収されてしまい,ノイマン環の場合と異なり,D×GはGによらない.この環をAとおき、便宜的にDeneric Dynamics Fator(GD-環)とよぼう.AはIII-型、単純因子環であることが知られており,(M,G)によって簡単に構成できる特異因子環として最も近づきやすい,重要な研究対象の一つである. 前年度の報告で述べたように,論文(1)において実数加群RがAの外部的自己同型写像群として,竹崎型双対原理を満すように作用することを発見した.RがAに作用させるためにAの中に扱いやすい核になるC^*-部分環A_oを構成しその上にRを作用させAに拡張する手法を取った. この手法はZ及びZ_pのAへの外部的作用のモデルの構成にも用いることができることがわかり,Cnnesの外部共役類に関する不変量をもつZ_pの作用を構成できることもわかった.これらは論文として発表予定である.上に構成したRのAへの作用の核になるC^*-部分環A_oとAとの関係,特にその埋蔵の仕方A_o→Aを解析することも興味のある問題である. 論文(2)の内容は前年度の報告でのべたのでここでは述べない.
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