研究課題/領域番号 |
10640201
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
井上 淳 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40011613)
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研究分担者 |
伊藤 秀一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (90159905)
村田 實 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50087079)
野村 祐司 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40282818)
磯部 健志 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (10262255)
小澤 真 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00126020)
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キーワード | スーパー空間 / スーパー解析 / 量子化 / 非可換代数 / Dirac方程式 / Weyl方程式 |
研究概要 |
(線型)偏微分方程式の研究は、Heisenbergの関係がもたらす非可換性をFourier変換を用いて相空間での可換な対象物と捉えられる部分と、それ以外のおつりの処理という形で長らく続けられてきた(擬微分作用素論)。これに対し偏微分方程式系の研究には、行列構造から由来する非可換性がさらに追加されてくる。今までの多くの研究は、与えられた系が対角化できるように変形できるかという視点でなされてきた。 一方、Feynman経路積分は1940年代にFeynmanによって導入されたが、経路積分にあらわれるFeynman測度はそのままでは存在しないことが証明されている。それ故、Feynmen経路積分とそれを用いた準古典近似は、素粒子論を始め理論物理の各方面で良く用いられ、物理的議論での有用性にもかかわらず、いかにして数学と整合させるかは大間題である。 更に、Feynmanはその教科書の中で、スピンを持った方程式に関して彼の方法は適用できないが、例えば4元数を用いる解析学を作ればという提唱をしている。 4元数体上の解析学ではなく、無限加算個のGrassmann生成元を持つFrechet-Grassmann代数をあたかも基礎体とみなし、その上の解析学(微積分、線型代数、実解析)を用意する。これをスーパー解析といおう。これを用いると、行列構造をスーパー空間上の微分と掛け算作用素でおき代えることが可能で、これにより偏微分方程式系に対応する自然なHamiltonianを定義出来る。そこで、藤原大輔が用いたあるクラスのポテンシャルに対応するSchrodinger方程式の基本解の構成法を、スーパー空間上に表現されたWeylやDirac方程式に対して適用する。 今年度に発刊されたのは、相互作用の無いWeylやDirac方程式をスーパー空間上の方程式と見なすことによって、Feynman-藤原流の解析ができる、すなわち、Feynmanの問題の最も易しい部分を解いたことになる。相互作用のあるWeylやDirac方程式についても同様の考察が出来るが、極めて面倒な評価をしなければならない。
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