研究課題/領域番号 |
10640204
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
岩塚 明 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (40184890)
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研究分担者 |
土居 伸一 筑波大学, 数学系, 助教授 (00243006)
矢ヶ崎 達彦 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (40191077)
内山 淳 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (70025401)
島田 伸一 摂南大学, 工学部, 助教授 (40196481)
伊藤 宏 愛媛大学, 工学部, 助教授 (90243005)
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キーワード | シュレデインガー作用素 / 周期的電磁場 / スペクトル構造 / 磁場 / 自己共役拡張 / アハラノフ・ボーム効果 / 状態密度関数 / 波動関数 |
研究概要 |
まず周期的な電磁場を持つシュレディンガー作用素の研究を始めるための準備として、点的な相互作用を持つポテンシャルについて島田伸一と研究をした.すなわち原点で磁場が点的な相互作用をもつAhronov・Bohm効果を記述するシュレディンガー作用素として知られる作用素について研究した.この作用素は本質的自己共役でないのですべての自己共役拡張を求め、原点での境界条件を決定した.またこれらの作用素のなかで角運動量が保存されるものについて波動作用素の漸近完全性、位相のずれの公式、固有関数展開等が計算できることを示した.また時間に依存する方法でも波動作用素,散乱行列,散乱振幅の表現を求め、固有関数展開を示した.これより波動関数の原点での挙動によりAhronovとBohmたちが取り扱った作用素を特徴付けることができた.これは彼らが波動関数に課した条件"波動関数は原点でソレノイドに触れない"を数学的に波動関数の原点での挙動で表現したものである.また各部分波の散乱振幅をdistributionの意味で足し合わせると全体の散乱振幅が得られる.これは時間に依存する方法と依存しない方法が波動関数(我々の定義は一般化されたFourier変換の積分核)を通して移りあうことを示すものである. また状態密度関数について土居伸一と共同研究し、磁場のある場合に非常に一般的な条件のもとで、領域の拡げ方や境界条件の付け方に依らず、状態密度関数が一意的に定義できることを示した.また全空間で作用する作用素によって定義される状態密度関数と、有界領域に制限した作用素から定義される状態密度関数が一致するための条件も求めた.これによって周期的な電磁場をもつ場合にも全空間的で定義される作用素のスペクトルが、有界領域で定義される作用素の極限として計算されることがわかった.
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