研究課題/領域番号 |
10640207
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
南部 隆夫 神戸大学, 工学部, 教授 (40156013)
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研究分担者 |
佐野 英樹 鹿児島大学, 理学部, 講師 (70278737)
内藤 雄基 神戸大学, 工学部, 講師 (10231458)
田畑 稔 神戸大学, 工学部, 助教授 (70207215)
中桐 信一 神戸大学, 工学部, 教授 (20031148)
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キーワード | boundary control systems / feedback control / linear parabolic systems / algebraic method / algebraic transform / spectrum assignment / mixed boundary conditions / higher order parabolic systems |
研究概要 |
線形放物型境芥制御系に対する安定化の研究を、従来とは全く異なる代数的方法を考案して遂行した。得られた成果の概略は、はつぎの通りである: 1. Dirichlet型(第一種)とRobin型(第三種)が混在する複雑な放物型境界制御系を研究対象とした。フィードバックループに更に補償器(compensator)が混在するとき、干渉(coupling)制御系ができあがる。この系に対して、Holder空間に基礎を置く古典論と関数解析学に基礎を置く現代論の枠内で(真の)解の存在と、適切性(well-posedness)について論じた。 2. 従来の境界制御系の考察には、付随する楕円型作用素の分数ベキの特徴付けが必須であった。Dirichlet型かRobin型のどちらか一方のみの境界条件を伴う2階一様楕円型作用素の場合には、分数ベキの特徴付けが分数次Sobolev空間での枠内で1967年以来知られている。本研究で考察した複雑な系の場合には、この特徴付けが知られておらず、また上記作用素のテクニカルバージョンの枠内に収まらない(分数ベキ構造が)本質的に異なる作用素を伴っている。本研究では、分数ベキでの方向の代わりに全く新しい代数変換を導入して、制御系を相似な別の制御系に変換を行い、系に特有な可制御性、可観測性の概念に関連させて安定化を達成した。相似性に関する複雑な計算を伴うものの、考察は全て代数的な性格である。 3. 第2項での方法は作用素の分数ベキに全く依存しないため、ロボット等の高階偏微分方程式のフィードバック制御問題に、本質的に同等な方法が適用できることを示した。 4. 本研究に現れた補償器はいわゆるidentity compensatorと言われる範疇に属する。楕円型作用素がコンパクト作用素でないようなより一般的な場合には、Riesz基底が存在しない。この場合、identity compensatorでは安定化を達成することは難しく、作用素方程式(Silvester方程式)を経由する新しい代数的方法の研究を、平成11年度への継続研究課題として行っている。
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