研究課題/領域番号 |
10640208
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
柴田 徹太郎 広島大学, 総合科学部, 助教授 (90216010)
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研究分担者 |
田中 和永 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (20188288)
宇佐美 広介 広島大学, 総合科学部, 助教授 (90192509)
吉田 清 広島大学, 総合科学部, 教授 (80033893)
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キーワード | 非線形 / 楕円形方程式 / 固有値 |
研究概要 |
本研究では非線形楕円型方程式の固有値問題の研究として、主として変分法を用いて、非線形楕円型偏微分方程式の固有値の漸近的性質を詳細に解析する事に重点をおいた。具体的には、2つのパラメーターと、漸近的にべき非線形項u^pのように振る舞う非線形項を含む非線形楕円型方程式を、R^Nの一般の有界領域で考察した。まず、この方程式を一般的等高集合上で変分法を用いて取り扱った。そして、その正値解に対応する固有値の、他の固有値パラメーターに関する漸近挙動の解析に研究の焦点をあてた。その際、変分固有値に対応する固有関数の漸近挙動を、非線形Scalar Field方程式のGround State解の定性的性質を援用して研究を進めた。研究のポイントとなったのは、考察する方程式の変分構造と、最近研究が進んできた特異摂動法の組み合わせに着目し、考察を進めたことである。そして、このアプローチが固有値の漸近挙動の解析にきわめて有力であることが判明した。その結果、1次元のときに得られていた変分固有値の漸近公式の拡張を得ることに成功した。さらに、固有値の、変分構造に関する依存性を調べるため、この方程式をL^<p+1>-等高集合上で変分法を用いて考察した。この方法を用いたことの最大の利点は、非線形項u^pのべきpの範囲として、ソボレフの意味でsub-criticalといわれる範囲を統一的に扱うことができたことである。この場合は、解のL^<p+1>ノルム、L^2ノルムの漸近挙動を詳細に調べた。その結果、この場合の固有値の漸近挙動が、一般的等高集合上で変分法を用いて得られた固有値の漸近公式と対応しているものであることが明らかになった。また、今後の研究の発展のため、関連する方程式の解の正値性、球対称性、一意性などの定性的性質を考察した。
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