研究概要 |
リ一群の表現論における基本的な問題として,等質空間上の不変微分作用素の固有関数の研究がある.古典領域上の不変リーマン計量により定義されるラプラシアンは不変微分作用素であり,調和関数は固有値0に属する固有関数である.調和関数の研究にはポアッソン積分が重要な役割を果たす.古典領域上のポアッソン積分はHuaにより各タイプ毎に具体的な形が計算されている. 我々は一般の固有値に属する固有関数の研究に適用できるようにポアッソン積分を拡張する研究を続けてきた.この度,各古典領域上の直線束を考えリー群論的研究方法を用いることにより,ポアッソン積分の一般化を得,さらにこれらを具体的に計算することに成功した.表現のパラメータを特殊化することによりコーシー積分も得られた.これらの研究をベクトル束の場合に拡張するのは,古典領域上の保型形式論等に重要であるが作用素達が非可換であるため,致命的な困難に遭遇する.具体例をいくつか計算しているうちにHuaが与えた例を含む興味ある結果が得られた. 更に,無限次元の場合に拡張し,ホワイトノイズにおけるレビのラプラシアンに関する調和関数およびコーシー問題の研究を行い興味ある結果を得た.
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