本年度は主に目的とする自動観測が行えるように、望遠鏡と近赤外線カメラの整備を行った.望遠鏡は鏡筒は現有品をそのまま使用し、赤道儀架台は本科研費補助金によって、十分な積載重量性能を持ち、自動観測が可能なものを設置した.現在この架台は遠隔制御が行えるように計算機ソフトウエアを整備しつつテストを行っている.近赤外線カメラは当初変更なしで使用できると思っていたが、完全に自動観測するためには冷却保持時間が不足していることが判明した.このため冷却系の改修を行い、十分な保持時間が得られるようになった.現在、望遠鏡・赤道儀架台・近赤外線カメラを汲み合わせて、試験観測を行っている. また観測と平行して行っているIsochroneおよびZAMSの研究では、これまで明らかにされていなかった様々の点が明らかになった.ZAMSはこれまで近傍星団の明るいメンバーで較正されており、Mv>5程度の暗いメンバーではその形があっていないことがわかってきた.また我々は10種類程度の理論的なIsochroneの比較を行った.この結果、輝度・温度空間においては、1990年代に構築されたIsochroneは非常に良く一致しているが、色・等級空間においては0.4等程度もの開きがあることがわかった.これは理論的な温度を色へ変換することが全く確立してないことが原因である.我々はこの温度色変換の最適値を算出中である.
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