研究概要 |
(1)地上観測。平成12年4月に、国立天文台堂平観測所の低分散分光偏光装置(HBS)が、岡山観測所に移管されたのに伴い、本年度夏期に岡山観測所において小惑星の偏光観測を行った。メインベルト小惑星(3Juno,4Vesta,8Flora)の偏光度の波長依存性や、自転に伴う偏光、測光特性の時間変動を求め、表面物質とその空間分布を推定した。 (2)室内測定。(i)新たに、いくつかの隕石細粒試料について広い位相角範囲(2度〜155度)で散乱光強度を求めた。前年度の結果もあわせた実験データから、隕石細粒試料で表面を覆われた球状の天体についての光度位相曲線(位相角と明るさの関係)を導き、それと小惑星の観測データとの比較を行った。(ii)異なる粒子サイズ分布をもつ隕石細粒試料について、偏光位相曲線を求め、偏光度の粒子サイズ依存性について予備的な結果を得た。(iii)粗い表面をもつ板について、粒子の場合と同様に、広い位相角範囲で散乱光強度を求めた。板についての実験データが従来の光散乱モデルでは十分再現されないことがわかった。(iv)異なる粒子サイズ分布をもつ鉱物細粒試料について、表面凹凸の測定を行った。表面粗さが粒子サイズに依存することを明らかにし、粒子サイズと凹凸との経験式を求めた。また、人工的に表面に凹凸をつけた試料を用意し、これの凹凸分布を定量的に求め、光散乱特性との相関について調べた。現在、その結果について、考察を行っている。
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