研究課題/領域番号 |
10640236
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
梶野 敏貴 国立天文台, 理論天文学研究系, 助教授 (20169444)
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研究分担者 |
谷畑 勇夫 理化学研究所, 加速器科学研究室, 主任研究員 (10089873)
土岐 博 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (70163962)
定金 晃三 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (20110794)
吉井 譲 東京大学, 天文教育研究センター, 教授 (00158388)
野本 憲一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90110676)
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キーワード | 核宇宙年代計 / 超新星爆発 / ニュートリノ / 中性子星 / γ-過程 / トリウム / ホットバブル / 一般相対論 |
研究概要 |
平成10年度は、宇宙年齢に匹敵する寿命を持つトリウムなどの放射性重元素を作り出す物理過程を明らかにすることを目指して研究を展開した。 核宇宙年代計に適した放射性重元素のほとんどは、超新星爆発や中性子星連星系の合体に伴う爆発的r-過程で合成されると考えられる。重力崩壊型超新星爆発に伴う強いニュートリノ流束は生まれたての中性子星大気を加熱する。これにより作られるホット・バブルの性質について研究した。重力場によるニュートリノの赤方偏移効果、軌道の湾曲効果、流体方程式への一般相対論効果、等を詳細な検討した結果、超新星1987Aより重い大質量星の重力崩壊でできると考えられる存在限界に近い中性子星の大気では、膨張の時間スケールが極端に短くなるため、低エントロピー140程度でもr-過程が起こる物理条件が整うことを見い出した。 爆発的元素合成を定量的に理解するために、約3000核種とそれらを結び付ける約15000個以上の核力、電磁気力、弱い力による核反応を含むネットワークを構築し、100億度という高い温度から素粒子・原子核反応を数値的に追跡できる計算コードを開発した。これを用いて、我々が求めた相対論的流体中でのr-過程元素合成の数値シミュレーションを実行し、r-過程元素組成の第2、第3ピーク、及び、それより重いトリウムやウラニウムもこのホット・バブルで合成されることを明らかにした。
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