研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的の一つであったRプロセス元素の観測的研究が、ハワイ・マウナケア山頂に完成した「すばる望遠鏡高分解能高分散分光器HDS」の稼動とともに、最終年度である2000年にようやく可能となった。数回の試験観測で期待通りの性能であることが実証され、幾つかの超金属欠乏星におけるトリウム232(半減期寿命141億年)、ウラニウム238(半減期寿命45億年)、レニウム187(半減期寿命435億年)などの観測が行われた。現在、それらのデータ解析が進められている。超新星爆発におけるRプロセス元素の理論に関する理解も飛躍的に進み、大きな進展がみられた。核宇宙年代計として最適な放射性元素のなかで、宇宙年齢と同程度の崩壊寿命を持つアクチノイドは、超新星爆発に伴う爆発的r-過程でのみ合成されると考えられる。これらの元素の起源天体が持ちうる物理環境、すなわち、超新星爆発において、ニュートリノ球から放射される強い電子型、ミュー型、タウ型ニュートリノ流束の大きさ、原始中性子星の質量と半径、ニュートリノ過熱によって達成されるエントロピーなどのニュートリノ駆動風のダイナミックスを支配する物理量と、最終的にそこで合成されるRプロセス元素量との関係を明らかにした。
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