研究概要 |
1.超対称標準模型のスレプトンの質量の違いがチャージノの3体崩壊の分岐比に与える影響を調べた。特にチャージノのゲージノ成分が主要な場合は,スレプトンの質量がチャージノよりもかなり大きくても分岐比を大きく変えることが見いだされた。さらに,Wボソンへの2体崩壊が可能な場合でも,スレプトン交換による3体崩壊が十分観測可能で,終状態レプトンやジェットの運動学的情報から2体と3体の比を推定でき,スカラーレプトンの質量を求められることを示した。この測定は超対称性の破れの機構に対する手がかりになりうる。 2..超対称性による結合定数の間の等式は超対称粒子の質量によって補正を受ける。この効果によって生成できないほど重い超対称粒子の影響を調べることができる。この補正の新しい取り扱いを提案し,電子陽電子衝突におけるチャージノ対生成で補正効果を測定する可能性を検討した。 3.第三世代のスフェルミオンがゲージボソンやヒッグスボソンを含む終状態へ崩壊するモードの分岐比が非常に大きい場合があることを示した。 4..Rパリティを破る超対称模型においては,トップクォークを含む相互作用でレプトン数を保存しないものがある。これがテバトロンにおけるトップクォークの生成・崩壊に与える影響を計算し,トッップクォークの偏極や,前方後方非対称性を用いることにより,現在の実験的上限を改善できることを見いだした。 5.LHCにおいて,2番目に軽いニュートラリーノがもっとも軽いニュートラリーノに崩壊するときのレプトン対の分布を調べ,これから質量差を実験的に決定する可能性を調べ,この分布がモデルのパラメータに強く依存することを見いだした。
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