研究概要 |
少数粒子系の精密計算法としての相関ガウス基底を用いた確率論的変分法を発展さ、^6Heや^<10>Beなどを幾つかのαと中性子からなる多クラスター系として記述した。^6Heの束縛機構の理解にはα芯の現実的記述が重要で、それがハロー中性子との引力を増すことを示した。また^<10>Beでは^6He+αの閾値以下の準位が全てほぼ対応するところに得られ、模型と手法の妥当性を示すことができた。0^+の励起状態が^8Beにおけるように二つのα粒子が離れて空間的に拡がった構造を持つものとして得られたことは特記される。^<10>Beの結果は^<11>Beのパリティ反転機構の理解に重要な役割を果たすものと期待される。 精密なエネルギー計算が可能になったことで、相互作用の強さを変数として運動量(波数)を解析接続して共鳴状態のエネルギーや幅などを求める新たな手法を提供できるようになった。^5He,^5Li,^6He,^9Be,^9Bなどの多くの例についてその有効性を明らかにした。 グラウバー振幅の厳密計算の定式化を行った。p+^6He散乱に多クラスター模型の波動関数を適用し、実験データを非常によく再現することを示した。質量数の増加につれて計算時間は膨大になるので信頼できる近似法が求められるが、核子と原子核のプロファイル関数を用いる有効理論を提案しその有効性を確かめた。高エネルギーでの不安定核反応の弾性散乱角分布と反応断面積の分析を行ない、原子核の密度のみを用いた光学近似でも実験の解析に十分役立つことを示した。 共鳴群法をより重い原子核に適用するために、ある種の近似をほどこした簡単化された方法をテストしたり、新しい型の波動関数を用いる方法を提案し、その妥当性を検討した。
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