N=4超共形代数の表現論を一般的・包括的に研究して定式化し、その成果を超対称弦ソリトン(またはインスタントン)研究の物理的対象に現れるN=4超共形代数に関連した諸問題に応用・発展させる、という本研究の目的は達成しつつある。特に、超対称弦ソリトン模型、超対称WZW模型等に現れるN=4超共形対称性とその代数構造を研究し、各模型における代数表現としての場の同定を追求することによって、超弦理論の非摂動的研究における高いNの超対称性の意味と役割を具体的に解明する研究は進行中である。 また、このような観点からの超対称弦ソンリトン解の研究は、超弦理論におけるブラックホールやホーキング輻射に関連した問題に有用かつ強力な知見を与えると期待され、その研究も進行中である。 当該研究の部分報告として書かれた二つの論文の中第一論文(Mod.Phys.Letters)は、N=4超共形対称牲の非同一代数に対するFeign-Fuks表現を扱っている。外部自己同型群SO(4)/SU(2)SU(2)の共役類に対応するρによって名付けられた無限個の独立なN=4非同一代数に対して、ρパラメータを組み込んだFeigin-Fuks表現を構築した。 第二の論文(Int.J.Mod.Phys.A)では、N=4SU(2)@@S2k@@E2超共形代数のFeigin-Fuks表現のパラメータ空間をスペクトルの流れの観点から研究した。スペクトルの流れのη位相を捻ったフェルミオンを通して導入し、N=4超共形代数の内部自己同型性から得られるスペクトルの流れが演算子の間の恒等式として作用していることを具体的に示した。N=4超共形代数の非常に込み入った数式演算処理およひ研究情報交換のために計算機を購入した。また、国内外の研究者と研究成果の交換をし、研究の更なる更なる発展に資するために、国内旅費、謝金等を使用した。これらの経費使用は、研究遂行上不可欠であり、かつ極めて有用であった。
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