研究概要 |
今年度の研究実績は次の通りである。 1.超対称E_6統一模型におけるquark/lepton の質量と混合: 昨年度、anomalous U(1)量子数を利用したFrogatt-Nielsen機構を用いて、up quark sector,down quark sector,charged lepton sector,neutrino sector全てで、現在の実験と矛盾しないmass matrixのパターンが再現できるような、超対称E_6統一模型を構成した。今年度は、その発展として、これまでの27次元表現の物質場、Higgs場以外に、随伴表現78次元のHiggs場を導入し、quarks,leptonsの全ての質量と混合角が、パターンだけでなく数値まで実際に再現できることを示した。さらにその過程で、レプトンの大きな混合角を、クォークの質量および混合角で表す興味深い新しい関係式を発見した。 2.我々の4次元世界が高次元中の3次元膜(3-Brane)の場合の膜の揺らぎモードの研究: 超弦理論の最近の最も重要な認識は、D-braneやOrientifold planeと言った高次元膜の存在である。これは、我々の4次元世界が実は、より高次元時空中での3-braneであるという新しい可能性を示唆する。我々の4次元世界の乗っている3-braneのfluctuation modeの重要性を指摘し、先ず、braneの張力が小さいとbulkのゲージ場のKaluza-Klein高励起モードの結合が指数関数的に抑圧されることを明らかにした。さらに、我々の物質場との相互作用を分析し、第5の力や超新星爆発後の中性子星の冷却過程への寄与を評価し、braneの張力の下限を求めた。
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