今年度は、5次元時空での超重力理論に関する以下の研究をおこなった。 我々の4次元世界が実は高次元時空中に埋め込まれた3次元膜(3-Brane)である、とする考え方が、いわゆるブレーン世界シナリオの考え方である。ブレーン世界シナリオでは、超対称性が自発的に破れる隠れたセクターというのは我々のブレーンとは別のブレーンであるという実体的な解釈が与えられる。このようなシナリオで超対称性の破れの我々のブレーンへの伝播を真面目に調べるためには、いちばん簡単な状況でも、5次元の時空での超重力理論を構成しておく必要がある。 今年度は、先ず、6次元時空では超共形テンソル計算則が既に知られているので、それから出発していわゆる次元削減の方法により5次元の超重力理論のテンソル計算則を求める仕事をした。具体的には、超重力のワイル多重項、物質場のベクトル多重項およびハイパー多重項などの超対称変換則や、それらを用いた不変作用公式、などの公式群を与えた。次にその結果に基づいて5次元時空でのベクトル多重項およびハイパー多重項からなる一般の物質-ヤンミルズ系の超重力系に結合した系に対する不変作用を計算し、あらわな表式を求めた。
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