研究課題/領域番号 |
10640272
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中村 純 広島大学, 総合科学部, 教授 (30130876)
|
研究分担者 |
橋本 貴明 福井大学, 工学部, 助教授 (30228415)
酒井 淳 山形大学, 教育学部, 教授 (10015828)
宮村 修 広島大学, 理学部, 教授 (80029511)
高石 哲弥 広島経済大学, 経済学部, 講師 (60299279)
日置 慎治 帝塚山大学, 経営情報学部, 助教授 (70238252)
|
キーワード | QCD / 場の理論 / シミュレーション / 繰り込み群 / グルーオン / 改良作用 |
研究概要 |
ウイルソンの提唱した格子ゲージ理論においては、作用は格子上でゲージ不変な項の和によって表されるが、その形には不定性がある。これまで最も単純な形の作用によってシミュレーションが進められてきたが、それ以外の項を導入することにより、より連続極限に近い結果が得られることが近年明らかになってきた。特に、繰り込み群から得られる繰り込まれた軌跡の上では長距離の物理量には離散化の効果が無いことが期待される。我々は、繰り込み変換を数値的に行い、繰り込まれた軌跡を求めることで、効率的なQCD作用を求めてきた。 特に今年度は、Schwinger-Dyson法を使い、数値シミュレーションによって2パラメータ、3パラメータの場合について繰り込み変換を広いパラメータ空間で系統的に行い、繰り込みの流れを調べたその結果、2パラメータの場合にすでに繰り込まれた軌跡の兆候が現れ、Symanzik型の改良相互作用Iwasaki型の改良相互作用との関係を明らかにした。また、Wilson型から繰り込まれた軌跡に近づくにつれ重クォークポテンシャルにおける格子の離散化による影響は小さくなり、またストリング・テンション、転移温度の測定からスケーリングも改良されることが見いだされた。 さらにこの空間の流れを再現する実効的なベータ関数を求めることに成功した。これにより、任意の点での格子間隔を求めることができ、改良された作用によるシミュレーションにおいて有用かつ基本的な情報となる。 これの結果は、格子場の理論国際会議(イタリア・ピザ)等で報告を行い、詳細な結果がNuclearPhysicsにまもなく本論分として掲載される。 現在、ここで有用性が確認されたSchwinger-Dyson法による繰り込み変換のクォーク系への適用の可能性を調査している。
|