ニュートリノについてのモデルの研究を最近の実験データにもとづいて行った。現状ではニュートリノ混合について多くのモデルが提案されているが、実験データを用いてニュートリノ振動を現象論的に検討し、ニュートリノ質量の起源をさぐることを目指した。 スーパー神岡は太陽ニュートリノ振動と大気ニュートリノ振動の新しい実験データを発表したが、そのデータは太陽ニュートリノ振動が大角度でおこる可能性を示したものであった。このデータを考慮しニュートリノ質量行列のモデルの考察を行った。大気ニュートリノ実験によるニュートリノ混合の大角度とあわせ検討し、Bi-MaximalまたはBi-Largeの質量行列のモデルを作りあげた。それは、S(3)Flavor Symmetryのように世代構造を支配するモデルであり、現在世界の注目を浴びている。 さらに、今年から行われるスーパー神岡とKEKでのLong Baseline実験からも多くの情報を得ることが可能であるので、この実験の結果を理論的に予測した。なお、これらの成果の一部は論文上だけではなく、1998年秋の物理学会(秋田)での理論実験合同シンポジウム、1999年国際会議WIN99(Cape Town)での招待講演で発表した。
|