1. 原子核の巨大共鳴を典型とする集団励起状態の散逸は、とりわけ、集団状態と背景の状態との結合による分散幅が主要な役割をはたす。この機構を模型化し、背景状態の統計的性質が、応答関数にどのように影響するかを検討した。数値計算結果の精度を確かめるため、和則との整合性を調べた。 2. 一方、上記の分散効果をより簡単な3状態模型を用いて検討した。この模型においては、背景状態に乱雑行列を用いることにより解析的な結果を得ることができ、カオティックな極限についての理解が得られた。また、数値計算結果との比較を行なった。 3. また、散逸過程の新しい定式化として、転送行列法に基づく検討を行なった。とくに、一次元の散乱問題を、転送行列に対するコヒーレント状態経路積分に基づく方法を適用し、古典解と散乱データとの関係を調べた。
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