研究概要 |
安田は不毛ニュートリノを含む二種類ニュートリノ・三種類ニュートリノ・四種類ニュートリノの枠組で大気ニュートリノの解析を行い、三種類の枠組ではθ(13)が小さくなること、四種類の枠組では太陽・大気どちらも通常のニュートリノと不毛ニュートリノの振動の混成のみが許されることを示した。又、ニュートリノファクトリーと従来型の長基線実験で大きな質量自乗差の符号・θ(13)・CP非保存の位相を測定する可能性について議論し、さらに活動銀河核やガンマ線バーストなどの宇宙論的距離にある天体からニュートリノのフレーバー混合がどのように起きるかを、三種類と四種類のニュートリノフレーバーの枠組で議論した。南方は安田と共に縮退した三世代ニュートリノのシナリオに関するそれまでの解析を最新のデータをもとに再解析して真空振動解の双最大混合解が唯一の可能な解であることを示した。又、超低エネルギーのニュートリノビームの長基線実験でのCP非保存の測定の可能性を吟味し、さらに超新星からのニュートリノの観測において,ある条件のもとで,逆ヒエラルキーのニュートリノ質量パターンが観測と矛盾することを示した。一方、梶田はスーパーカミオカンデの大気ニュートリノのデータからニュートリノ振動のパラメーターの許容範囲を求めてニュートリノ振動の証拠として1998年6月の国際会議で発表し、世界中の物理学者のみならず、マスコミの間でも注目を集めることとなった。その後観測を一層精密にし、大気ニュートリノにおいて100%不毛ニュートリノが関与するニュートリノ振動の可能性は排除されることを示し、又太陽ニュートリノにおいては大混合角MSW解が最も良いフイットを与えることを示した。以上のように、この三年間で我々の研究成果により大気ニュートリノの質量自乗差からのニュートリノ振動に関する見識が著しく増加された。
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