銀河団中には、電子およびイオンがプラズマ状態として存在している。そこから観測されるX線のエネルギーから、その温度は10keV〜l5keVに達することが知られている。本研究では、この銀河団中における高温プラズマの諸性質について、特に次の2項目についての研究を行った。 (1) 銀河団中の高温プラズマにおけるSunyaev-Zel'dovich効果の研究 2.7Kの宇宙マイクロ波背景輻射(CMB)が銀河団中における高温(10keV-15keV)の電子ガスによって散乱されることにより、そのスペクトラムが歪められることが知られている。これがSunyaev-Zel'dovich効果と呼ばれている。本研究では、その相対論的な寄与を定量的に評価した。その結果は米国の天文学会誌Astrophysical Joumalに投稿し、掲載された。 (2) 銀河団中の高温プラズマにおける熱的制動輻射過程の研究 銀河団の内部から放出されるX線が観測されており、そのメカニズムとして高温状態のプラズマ中における電子-イオンによる熱的制動輻射および電子-電子による熱的制動輻射がよく知られている。本研究では、これらの熱的制動輻射過程を相対論的な寄与を取り入れて精度の良い計算を行った。その結果は米国の天文学会誌Astrophysical Jounrnalに投稿し、掲載された。
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