研究概要 |
初めにトランスジューサーであるLiNbO_3の結晶の表面にフォトレジスト法により金属電極を蒸着した。試料はLiNbO_3結晶でCdSのピエゾ物質をはさんで作った。この場合にはトランスジューサーを通して表面に音響波が伝わり、荷電粒子は表面音響波による電場で摂動を受ける。外部電圧Uは3〜10MHzの交流で最大電圧は70Vである。上記試料をクライオスタットに取り付け、液体ヘリウム温度まで冷却した。発光スペクトルの音響波強度依存性を励起レーザ光の波長を変えて測定した。音響波の強度は外部電圧によって決まるが、電圧が1600V/cmまでは発光強度がほとんど変化しない。即ち8MHzのラジオ波の電圧が70Vまでは発光強度の変化は見られなかった。他方、温度を液体ヘリウム温度より上昇させると、束縛励起子による発光強度は急激に減少する。このことは、音響波による試料の温度上昇は無視できることを意味している。更にピコ秒チタンサファイヤレーザの倍波を励起光源とし、発光は分光後ストリークカメラで検出することにより発光の寿命を測定した。その結果、電場のないときは発光の寿命が1.2ナノ秒であったものが、1200V/cmの電場が印加されると急激に減少することを見出した。またラマン散乱スペクトルを外部電場を変えて測定した。その結果、A_1,E_1モードのフォノン線が観測されていたものが、発光の寿命が減衰すると同時にA_1モードが消えてE_1モードだけになることが分かった。現在、この方法で束縛励起子の音響波によってどのように変化するかそのダイナミクスについて検討中である。
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