研究課題/領域番号 |
10640305
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大山 忠司 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40029715)
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研究分担者 |
小堀 裕己 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90202069)
藤井 研一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10189988)
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キーワード | サイクロトロン共鳴 / フォトルミネッセンス / 化合物半導体 / 2次元電子系 / 衝突イオン化 / 束縛励起子 |
研究概要 |
(1) 35GHzのマイクロ波と分光器を組合せた光検知サイクロトロン共鳴装置を組み上げた。 (2) 上記の装置を用いて、CdTe、ZnSeおよびAIGaAs/GaAs-2次元電子系に関する光検知サイクロトロン共鳴(ODCR)信号の検出に成功し、これらの系における幾つかのダイナミカルな特性を明らかにすることができた。 (a) CdTeについては、移動度の非常に大きい試料と移動度の小さな試料ではODCR信号の符号が逆転することを見出だした。Monte-Carloシミュレーションによって、これはこれらの2種類の試料における不純物散乱確率の違いから、マイクロ波電場によって加速される電子の平均エネルギーが異なり、中性ドナーを衝突イオン化する効率の違いに起因することを明らかにした。 (b) ZnSeについては、Mid-gap近傍に見られる幾つかの発光シリーズ、QシリーズおよびRシリーズ起源を明らかにした。これらのシリーズについては長年の間その起源について論争が続き、幾つかのモデルが提唱されてきた。これまでフォトルミネッセンスという限られた実験結果にだけ基づいて議論が展開されていたので決着がつかなかったが、今回のODCRという新しい実験方法の導入によって、試料内のアクセプターは1種類で異なる2種類のドナーが存在するというモデルでこれまでの実験結果を統一的に説明できることが分かった。 (c) AlGaAs/GaAs-2次元電子系におけるマイクロ波ODCRを検出し、この信号はへテロ界面内の電子とバルク結晶中の正孔との結合に関係する発光と思われる。この結果の詳細については平成11年度に引き続いて行う予定である。
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