研究課題/領域番号 |
10640309
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
島田 賢也 広島大学, 放射光科学研究センター, 助手 (10284225)
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研究分担者 |
佐藤 仁 広島大学, 理学部, 助手 (90243550)
生天目 博文 広島大学, 放射光科学研究センター, 教授 (10218050)
谷口 雅樹 広島大学, 理学部, 教授 (10126120)
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キーワード | 高分解能角度分解光電子分光 / マンガン化合物 / 強磁性体 |
研究概要 |
1、 高分解能極低温角度分解光電子分光装置の角度分解測定モードの調整を行い、角度分解能±0.25°以下を達成した.これは標準的な角度分解能±1°〜±2°に比較すると約一桁向上している.その結果、固体試料を6K家で冷却し、エネルギー分解能10meV以下、角度分解能±0.25°以下で高分解能極低温角度分解光電子分光実験が可能となった。これは固体の光電子分光としては世界最高水準である。またここで整備した装置を用いて、最近注目を集めている近藤絶縁体Ce_3Bi_4Pt_3およびMott転移を起こすY_<1-x>Ca_xTiO_3のフェルミ準位近傍の電子状態の温度依存性を詳細に明らかにした。 2、 角度分解光電子分光測定用マニピュレーターを製作した。 3、 強磁性マンガン化合物薄膜の磁化の評価のために磁気光学効果測定装置を整備した。 4、 ホットウオールエピタキシー装置により強磁性MnSb(1101)単結晶薄膜をGaAs[l00]単結晶表面上に作成した.X線構造解析によりNiAs型結晶構造であることを確認し、反射高速電子線回折装置により試料表面が平坦であることを確認した。角度積分光電子分光および角度積分逆光電子分光実験を行い、大きく交換分裂したMn3d-t_<2g>バンドを初めて直接的に観測した。実験スペクトルをバンド計算の状態密度と比較すると概ね形状は一致したが、実験スペクトルがら見積もった交換エネルギーは-4eVとなり、バンド計算の値-3eVよりも大きかった。MnSbのバルク試料を作成し、その電子状態を薄膜試料の場合と比較したところ、両者は一致した。こうしたことから良質なMnSb単結晶薄膜試料が得られていることが明らかになった。今後の課題は、この良質な単結晶薄膜について高分解能極低温角度分解光電子分光実験を行うことである。
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