研究概要 |
1、ホットウオールエピタキシー装置により強磁性MnAs(0001)単結晶薄膜をGaAs(111)単結晶表面上に作成した。角度積分光電子スペクトルは、MnAs薄膜試料やMnAs_<0.95>P_<0.05>パルク試科について報告された光電子スペクトルと一貫していた。非占有状態については、大きく交換分裂したMn3d-t_<2g>バンドを初めて直接的に観測した。 2、MnBiのバルク試科について、逆光電子分光実験およびヘリウム放電管を用いた光電子分光実験を行い、初めて非占有状態および占有状態について知見を得た。Mn3d-t_<2g>バンドのピークの分裂幅より、交換エネルギーを4.0±0.2eVと見積もった。 3、広島大学放射光実験施設でMnBiのバルク試科について共鳴光電子分光を行い、Mn3dの部分状態密度を得た。MnBiでは、Mnカルコゲナイドで見られるようなサテライト構造の共鳴増大はなく、Mn3d電子の遍歴的であることと一貫していた。 4、広島大学放射光実験施設のビームラインに高分解能角度分解光電子分光装置を接続した。装置のエネルギー分解能は3meV以下、角度分解能は±0.25°以下を確認した。今後の展開として、本研究により得られたMnX(X=As,Sb,Bi)単結晶試料について放射光を利用した角度分解光電子分光を行い、バンド構造を詳細に調べる予定である。
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