研究課題/領域番号 |
10640310
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
相原 正樹 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (70091163)
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研究分担者 |
高橋 聡 山口大学, 工学部, 助教授 (80212009)
稲垣 剛 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (10253139)
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キーワード | 励起子 / 電子正子L系 / BCS状態 / ボーズ凝縮 / 非線形光学効果 / 高温超伝導 / 超流動 / 発光スペクトル |
研究概要 |
高密度励起子系における非線形光学効果は、BiI_3中の積層欠陥面における2次元励起子系で種々の興味有る現象が見出されている。それと関連して、高密度励起子系の理論的研究、特に高密度励起子系からの発光スペクトル、ポンプ・プローブスペクトルの詳細な解析を行った。この問題に関する従来の理論的研究は、高密度状態において正当化される平均場近似に遮蔽効果を入れた解析か、低密度領域において正当化される励起子描像による解析(ボゾンモデルによる解析)に頼らざるを得ない状態であった。本研究において、G-RPA(一般化された乱雑位相近似)とBethe-Salpeter方程式を組み合わせた式を精度良く計算することにより、電子正孔BCS状態を呈する高密度領域と励起子ボーズ凝縮状態を呈する低密度領域のクロスオーバの様相が初めて明らかにされた。高密度状態では、束縛した電子ホール対の距離が平均電子間距離より遥かに大きい、いわゆるクーパー対状態になっており、発光スペクトルは、電子(ホール)のFermi面上に生じたBCSギャップを反映したものとなる。これに対して、励起子凝縮状態では、励起子からの鋭い発光線の他に、発光する励起子が他の励起子の解離を引き起こす事により生ずるP線と呼ばれる発光バンドが現れる。本研究により、その2つの異なった発光過程のクロスオーバの様相が初めて明らかにされた。その特徴的な振る舞いとして、低密度になるに従って、他の励起子の2S状態への励起を伴う発光が、P線から分離して現われるようになる。BCS状態とボーズ凝縮状態のクロスオーバは、高温超伝導の機構解明とも密接に関連している意味でも重要な問題である。
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