研究概要 |
本研究の第2年度にあたる平成10年度の研究実績は、以下のごとくである。 [1] コロイド微粒子の配列集合体試料の作製技術の確立. 誘電体の球状微粒子として、本研究ではポリスチレン微小球(ラテックス)を使用し、市販および独自に合成した粒径0.3〜5.0μmの試料を用い、自己集積法により基板(ガラス、金属)の表面上に規則的に粒子が配列した2次元配列膜を作製してきた。本年度は、従来の方法(ロウ型を用いたバッチ法)の欠点を改善するため、試料容器より適当な濃度のラテックス懸濁液を供給しながら、基板を連続的に移動させ、液に濡れた表面でラテックス微粒子を自己組織的に配列させる方法を工夫した。作製した試料の構造を光学顕微鏡、原子間力顕微鏡により評価し、作製条件を最適化することによって、従来法に比べて遥かに広面積で秩序的配列をもった試料を作製することに成功した。 [2] 2次元球状微粒子配列膜でのフォトニック・バンド構造の実験的検出と解析. 上記の方法によって作製された試料を用いて、配列構造の特定の方向を軸として試料面を回転させながら、広い波長範囲にわたって斜入射偏光透過スペクトルを測定した。その結果、スペクトルに見られる極小、極大構造の位置が偏光方向(s,p偏光状態)に依存して、試料面の回転とともに特有の波長移行を示すことを見出だした。この結果を解析して、単層ラテックス膜でのフォトニック・バンド構造の波長分散を実験的に求めることができた。これは、光波長領域での2次元フォトニック結晶での最初の測定例である。この実験と平行して、同じモデル系でのフォトニック・バンド構造の理論的な計算を行い、実験結果の解析を進めている。
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