研究課題/領域番号 |
10640317
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
吉村 幸雄 立命館大学, 理工学部, 助教授 (10066699)
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研究分担者 |
東崎 健一 千葉大学, 教育学部, 助教授 (30102031)
小島 彬 滋賀県立大学, 工学部, 助教授 (00205379)
津田 紀年 立命館大学, 理工学部, 助手 (40066684)
岩崎 博 立命館大学, 理工学部, 教授 (50005857)
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キーワード | mK制御セル / ペロフスカイト型構造 / 相転移 / CsPbCl_3結晶 / X線回折 |
研究概要 |
本研究では、相転移の研究で測定温度をmKの精度で行うとと共に、正確に熱異常を検知するシステムを加えたX線回折実験用「mKセル」を制作することであったが、これについては既に成功していて成果は“Rev.Sci.Instrum"に発表した。次に、CsPbCl_3結晶の320Kの相転移が実は100mKの温度領域に少なくとも二つの熱異常を伴っているという熱測定の結果を受けて、これがどのような結晶構造の変化を反映したものかを明らかにするため、開発した「mKセル」を用いて温度上昇過程と下降過程でX線回折実験を行った。その結果、二つの熱異常は超格子反射の出現、消滅と関与しており、また格子面間隔は熱異常を示す温度で不連続な変化を示し、320Kの相転移が立方晶構造から正方晶構造への単純な転移でないことが明らかになった。この結果については論文にまとめ“Phys.Lett.A"に投稿準備中であり、本年5月24日の“International Conference of Solid-Solid Phase Transitions ‘99"並びに7月の“9th European Meeting on Ferroelectricity"でも発表する。一方、この結果が315,310,そして200Kと続くCsPbCl_3結晶の逐次相転移にどのような影響を与えているかを調べるため、従来から行ってきた窒素ガス吹き付けタイプの低温X線回折装置を用いて325-90Kの温度領域で回折図形を注意深く観察した。その結果、315,310Kの相転移で出現した超格子反射が、260K近くから再び不連続的に強度を増す現象を見出した。200Kの相転移ではBragg反射に分裂が生じるが、これについても新しい解釈ができるようである。これらの結果は、320Kの相転移との関わりをも入れて検討していて、論文にまとめると共に、本年8月の“X VIII th International Union of Crystallography ‘99"でも発表する。CsPbCl_3結晶と同じペロフスカイト型立方晶系の結晶構造を持つBaTiO_3の相転移についても「mKセル」を用いて測定を始めていてCsPbCl_3結晶で得ている結果と等価な熱異常を測定していて、この現象はペロフスカイト型結晶構造が示す構造相転移の一般的な特徴と言えるようである。
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