本補助金により新規購入した物品と、研究開始時に既存であった2次X線分光器の特徴を最大限生かすような実験を行うことを心がけて研究を遂行し、下記のような成果を得ることができた。 1.強磁性Gd化合物のGd全L発光磁気円二色性(MCD)の確認 2.強磁性Gd化合物のGdL発光MCDの組成依存性 3.R-Co(R:希土類金属)アモルファスでの希土類金属L発光MCD これらの成果はこの研究の進展過程とほぼ同時期に進展し提案されていた理論予測を確認・検証するものとなった。特に1に関しては2グループによって理論予測がなされていたが、両者はかなり違う結果を予測しており、実験による検証が待たされていたものであり、今回の研究でその一方が正しいことをはっきりと示すことができた。 4.遷移金属K発光MCD MCDがほとんど期待できない遷移金属K発光のMCD測定を試み、吸収端近傍での吸収磁気円二色性の起源を実験的に厳密に特定することに成功した。 5.Gd3d_<5/2>2p_<3/2>発光及び発光MCDのGdL_2吸収端でのボイトラー・ファノ共鳴の発見 6.Transverse配置でのX線発光MCDの確認及びその散乱角依存性の測定 1次光学過程である光電子分光で観測されている共鳴効果やTransverse配置でのMCDの存在が、2次光学過程である発光現象でも見られることを発見した。このような現象に関する理論的考察はまだ存在しないため、今後理論グループとの共同作業を進めていく予定である。
|