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1998 年度 実績報告書

擬1次元ハロゲン架橋金属錯体におけるソリトン対光生成の量子動力学

研究課題

研究課題/領域番号 10640319
研究機関高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

岩野 薫  高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助手 (10211765)

キーワードハロゲン架橋金属錯体 / 自己束縛励起子 / ソリトン / 非断熱遷移 / サイト対角型電子格子モデル / CDW
研究概要

98年度においては、ハロゲン架橋金属錯体(以下、MX鎖)に対応するサイト対角型電子格子モデルを用いて、自由度を限った場合の動力学の研究を行った。まず、モデルについてであるが、最近の東大の岡本らによるヘテロ金属物質の測定の状況を踏まえて、非縮退性パラメターを導入する事にした。この導入により、自己束縛励起子(以下、STE)からのソリトン生成という非線形性を制御でき、結果を比べることにより、より深い理解を得ることが出来る。このようなモデルを用いて、ソリトン間距離のみを自由度として確率の計算を行い、現在までに以下のような知見を得た。
1. 第一励起状態上のSTEから基底状態への非断熱遷移の行列要素は、格子座標についての2次微分の項を無視すると、各座標による電子波動関数の1次微分(サイトの関数)と、各座標のソリトン間距離による微分との内積として表現される。この前者の関数は、本モデルにおけるすべての格子配置が、波数2k_F(=π)のCDWを背景としているのにも関わらず、サイトの滑らかな関数であることが分かった。すなわち、非断熱遷移に実効的に関与しているのは、長波長フォノンであるらしい。
2. 実際に確率を求めると、確かに前述の非縮退性パラメターを大きくなるにつれて、STEの寿命が短くなる。これは、ソリトン生成という非線形性が増大しているためと考えられ、その意味で予想の通りなのだが、寿命の絶対値が、1sec程度と極めて長く、確率計算に取りこぼしがあると考えられる。この原因は、前項で述べた長波長フォノンの効果が十分取り入れられていないためであろう。今後の課題としては、これらの取り入れられていない効果を、部分的に、または、モンテカルロ的な方法で、十分考慮していく予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] K.Iwano et.al.: "Nonlinear Excitations in Charge-and Spin-Density-Wave Materials-Excitons,Solitons and (Bi)Polarons" Synthotic Metals. (印刷中). (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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