研究概要 |
本年度は超音波装置の製作に取り組み,CexLa1-xB6の弾性定数の測定を行った.このために高周波発信機等の備品を購入した.超音波測定および比熱測定により,CexLa1-xB6の磁気相図を決定した.この結果零磁場のCexLa1-xB6においてはCe濃度が60%〜75%の間で磁気,軌道長距離秩序が消失することを明らかにした.このことにより,かねて申請者らが提案した通り,Ce濃度が50%の試料では磁気,軌道長距離秩序が存在しないことが裏付けられた.また,Ce濃度が75%の試料で新たな磁気相(IV相)が存在することを明らかにした.IV相の顕著な特徴の1つとして弾性定数C_<44>が常磁性相にたいして30%以上も小さいことを明らかにした.このことはIV相の微視的描像を理解するうえで極めて重要なことと思われる. 現在,さらにCe濃度を細かく変えたCexLa1-xB6の単結晶を製作し,それらの磁気相図,および弾性的な性質についての詳細な研究を行いつつある.このことにより,CexLa1-xB6における近藤効果による軌道自由度の消失機構,および新たに発見されたIV相の微視的描像を明らかにし,多年,謎が多いとされたCexLa1-xB6の磁気相図の総合的な理解が得られると確信する.
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