研究概要 |
本年度はCexLa1-xB6の低温比熱を測定した.また,CexLa1-xB6の低温の弾性定数の磁場変化と磁場中の比熱も測定した.これにより0.5<=X<=0.6のCe濃度のCexLa1-xB6では低温低磁場領域で秩序相が発生せず,磁場中では低温で秩序相が実現することを確認した.このことはCexLa1-xB6(0.5<=X<=0.6)である種の巨視的な非磁性状態が低温,低磁場領域で実現していることを意味する.この非磁性相は1イオン的な近藤非磁性状態でないことは磁場の印可によって,秩序相が発生することから明らかである.Ce0.5La0.5B6の低温比熱の温度特性は温度のほぼ1.5乗に比例しており,Ce0.5La0.5B6の低温低磁場の非磁性状態が,いわゆる重い電子系とも異なる状態であることを示唆している.Ce0.5La0.5B6の低温比熱は磁場に依存せず,低温の弾性定数の磁場変化に見られるヒステリシスは非常に小さい.このことはCe0.5La0.5B6の非磁性状態がスピングラス,あるいは電気四重極子のグラスではないことを示す.今年度の研究成果から,Ce0.5La0.5B6の非磁性状態が新しい巨視的な基底状態である可能性が強まってきた. CexLa1-xB6にはIV相がのIV相は現在でも秩序パラメータが特定されていない.今年度,Ce0.65La0.35B6のIV相の低温比熱を測定し,低温比熱が温度のほぼ2乗に比例することを見いだした.この比熱の温度特性は秩序状態によって異なるため,IV相の秩序パラメータ特定の大きな手がかりになると思われる.
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