研究概要 |
平成10年度の最大目標は,CePtAs,CePtPの単結晶の育成であった.われ心れはW(タングステン)坩堝を用いてブリッジマン法で作成を試みた.今回開発した手法を先ず述べる.最初にCeとPtを重量比で1:1に秤量し,トリアーク炉で溶解してCePtのボタンを作る.次にこのボタンを乳鉢で粉砕し,〜1mm程度の大きさの粒子まで細かくする(粉末にしないのは,酸化を防ぐためである).得られたCePtの粒子と10%増しのAs又はPを石英管に真空封入,横炉に入れて過熱して反応させる.反応は,Pの場合で言えば,未反応の赤色のPが無くなる事をもって終了とする.次に,反応物をペレット状にプレスし,Wルツボ内に再度真空封入して高周波炉を用いてブリッジマン法で単結晶作成を試みた.結果はCePtAs,CePtP共に金属光沢のある奇麗な単結晶をうることが出来た.結晶構造は六方晶YPtAs型である. 以下に得られた結果の概要を書く. CePtAs: 室温でのa-軸方向とc-軸方向の抵抗比は1:10でc-軸方向に電流が流れにくく異方性が大である. 1Kにネール点をもつ反強磁性体で磁場中ではメタ磁性を示す.磁気異方性は弱い. CePtP: CePtAsと同様に抵抗に強い異方性を示す. 比熱では3.1Kと1Kに異常があり,3.1Kで強磁性になり,1K以下で反強磁性へと転移する.磁気異方性も強く,磁気モーメントはc-軸方向にある. なお,両物質ともに,dHvAの実験が阪大 大貫氏との共同研究で行われ,シグナルが観測された.従って両物質共,純度の高い試料であり,初期の目的は略達成された.dHvAから得られたフェルミ面はほぼ円筒状でありこぼぇ実験から得られた伝導の二次元性を良く再現している.バンド計算との比較は今後の課題である.
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