研究概要 |
本年度の主な研究成果を以下に記す。 ・軌道縮退電子系CeB_6及びCe_<0.75>La_<0.25>B_6の奇妙な秩序の解明 CeB_6のIII相に見られる奇妙な磁気秩序を,次隣接サイト間の擬双極子相互作用の存在を仮定して説明した。また,Ce_<0.75>La_<0.25>B_6において新しく発見されたIV相が八極子秩序である可能性を議論した。今までに観測されている相の他に,エネルギー的に近い相があることを見出した。これは,一軸性圧力などの外場で実現する可能性がある。この議論のために,Ginzburg-Landau展開を微視的に行うことのできる新しい汎関数積分法を開発した。 ・軌道縮退電子系における軌道・スピン波励起 複雑な軌道・スピン秩序状態からの素励起の分散関係を導出した。秩序状態の単位胞が16個のCe原子を含むため,素励起のブランチは多数ある。これをすべて求め,スペクトルと多極子相互作用には特徴的な関連があることを見出した。特に,ほとんど分散のない波数方向があるので,中性子散乱などで検出できる可能性がる。 ・弾性定数に対する歪みの2次の効果 軌道縮退系の磁場下の弾性定数においては,2次の歪みが重要であることを指摘し,CeB_6系の弾性定数の温度,磁場依存性を導出した。磁場中の弾性定数は古くから議論されているが,研究者によってまちまちな結論が得られていた。本研究はこれを正し,CeB_6で従来謎であった奇妙な振る舞いを説明した。
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