Yb_4As_3は、小数キャリアーの近藤系として知られていた。しかし、その重い電子的な比熱の振舞いが、電荷秩序によって形成された一次元ハイゼンベルグスピン鎖によるのではないかという指摘がFulde達によってなされ、実際神木達はスピン励起がdes Cloizeax-Pearsonモードになっていることを中性子散乱によって確認した。しかし、一つの疑問点が残っていた。一次元ハイゼンベルグスピン鎖のスピン励起であるdes Cloizeax-Pearsonモードは、磁場中でも連続スペクトルを形成し比熱の磁場依存性はあまり強くないのに対し、実際に観測される比熱には小さな磁場でギャップが現れる。われわれは、Yb_4As_3の構造を解析することによって、交替するDzyaloshinskii-Moriya相互作用が存在することを指摘し有効ハミルトニアンを求めた。その低エネルギーの有効理論はサインゴルドン場の理論であるが、磁場依存性の全体、また温度依存性の全体を議論するには不十分で、現在密度行列繰り込み群を用いた解析を行なっている。 二次元でスピンギャップと磁化プラトーを示す直交ダイマーの系については、二個のトリプレット励起について調べ、一個のトリプレット励起よりも大きな分散を示すことを明らかにした。
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